木部塗装について

目次

破風 鼻隠し板の木部下地調整の方法

このお宅は 「破風 鼻隠し」という部位▼に木材が使われていて 数年前に他社にて塗替えを行ったのですが

住宅の破風・鼻隠し板の位置を矢印で示した写真

僅か数年で このように無残に剥がれてしまったようです、、、

鼻隠し板の旧塗膜が広範囲に剥がれた状態

こういった場合 ▼「皮スキ」という鉄のヘラで

浮いた塗膜を削り落とすための皮スキ

「浮いてるペンキだけを落とす」というのが最も多い(普通)対処の仕方です。 

ここも同じ症状の別のお宅です 木材を塗りつぶし(エナメル)仕上げにする場合 いきなり仕上げの
塗料を塗っても 木材が塗料を吸い込む為 綺麗に仕上げるには3回~4回以上塗らないといけませんので
工程を減らす為に 吸い込みを止める下塗▼ 白っぽい膜 を塗られている事が多いです。

塗膜が剥がれ、白い目止め下塗り層が露出した木部

剥がれた塗膜の表と裏の写真です 裏が白いという事は 下塗(白)層から剥がれてしまってます。

木部から剥がれた塗膜片の表面
白い下塗り層が付いた、剥がれた塗膜片の裏面

乾燥収縮で伸び縮みする木材に固い下塗層が吸い込まずに表面に乗ってるだけ の状態な為
年月経過と共に塗膜が割れて そして「剥がれ」と繋がります。

木材の膨張・収縮に塗膜が追従できず、白い下塗り層から割れて剥がれる仕組みの図

では先程の「浮いてるトコだけ落とす」で済ました場合 現在くいついてそうな部分から剥がれたら
新しく塗った部分も割れて剥がれる事になりそうで気持ち悪いのです▼

浮いた旧塗膜だけを除去した場合の再剥離と、全除去して木地を出す処理を比べた図


なので出来る事ならダメな物は全部剥がしてリセットしたい訳ですね 
▼は私が電動工具で全剥がしをしている動画です

↑の電動工具だけだと 傷が あちこち入るので 違う工具で傷消し研磨を行います

荒研磨~仕上げ研磨への変化です
【マウスか指を乗せると荒研磨~仕上げ研磨へ画像が変わります】

ここはまた違うお宅で 同じく荒研磨~仕上げ研磨 傷を消します

【マウスか指を乗せると荒研磨~仕上げ研磨へ画像が変わります】

現状 普通のケレン 全剥離の比較です  施工者割合として
私の体感では9割位は真ん中の処理ではないかと思います

鼻隠し板の総ケレン・普通のケレン・既存塗膜の状態を比べた写真

できる事なら全部剥がしてリセットして安心して気持ちよく塗りたい所ですが
普通ケレンと全剥がし だと手間が10倍位?違うので 施主様との予算の相談になります
▼は別のお宅

破風板の既存塗膜・普通のケレン・木地まで剥がした状態の比較

ここは 津久見市いし様 の施工記録に詳細を載せてます▼

【▼マウスか指を乗せると剥がし後写真に変化します】

ここは 臼杵市きよ様 の記録に詳細を載せてます

【▼マウスか指を乗せると処置後写真に変化します】

ここは 臼杵市たま様 に詳細載せてます  雨樋がついたままだと隅々までケレンできないので
一旦取り外してから作業を行います
【▼マウスか指を乗せると処置後写真に変化します】

樋を外して 全剥がし 【▼マウスか指を乗せると処置後写真に変化します】

ここは破風 鼻隠しの量が多かったので剥がすのに だいぶ時間かかりました

【▼マウスか指を乗せると処置後写真に変化します】

大分市H様 宅では窓のまわりに木材モールが使用されておりました
【マウスか指を乗せると荒研磨~仕上げ研磨へ画像が変わります】

ここのお宅の場合 新設時に表面に膜を作るペンキではなく 木材内部に浸透して木目を活かすタイプの
WPステイン系の仕上げだったので 落とすのも簡単に済むパターンでした

これまで 下地処理を どこまでやるか?に焦点をあてましたけど 次章からは木部用塗料のお話をします。

木部用塗料の種類 方法 経年後実例

木材の素地に塗る塗料は 大きく分けると 【A】 表面に膜をつくる塗装と 【B】 木に染み込ませる塗装
の2種類になります。 それぞれメリット デメリットがあります。▼

木部塗装の造膜型と浸透型WPステインの仕上がり・長所・注意点を比較した図

まずは【A】の施工実例から解説していきますね

【A】の場合 表面の防水性が強い反面 ▼のような木の繋ぎ目部分等から内側に水分が入った場合に
水分が蒸発する過程で 塗膜を浮き上がらせようとして 周囲の塗装が剥がれてしまいます

木板の継ぎ目付近から塗膜が剥がれた鼻隠し板

その為 この部分から水が入らないようにしておきたいので コーキングを詰めたい訳ですが
シーリング コーキングについて のページで解説したように現状は板と板が ピッタリ張り付いて
シーリングの打ち代が少なすぎます。 なので幅と深さを確保するべく カッターで溝を広げます
【▼マウスか指を乗せると処置後写真に変化します】

その後 マスキング プライマー塗布して シーリング打設

養生した木板の継ぎ目にプライマーを塗る作業
木板の継ぎ目にシーリング材を充填する作業

テープを剥がして完成です。

養生テープを剥がした木板継ぎ目のシーリング仕上がり

ページ冒頭に出てきた コストを抑える為の白い下塗 は使わずに 強溶剤2液型 というタイプの
浸透しやすく 且つ ある程度弾力性のある上塗材を塗布  

旧塗膜を除去した鼻隠し板に刷毛で塗料を塗る作業
鼻隠し板の上塗り2回目と3回目の艶の違い

その後別種の 2液型シリコン樹脂塗料を塗布 2種類の塗料で4回塗って
ようやくツルツルっとした感じに仕上がりました。

鼻隠し板の上塗り3回目と4回目の艶の違い
上塗り4回後、周囲が映り込む鼻隠し板の塗膜

2011年に↑の「津久見市いし様」宅は施工完了して2026年(約15年後)の経過を見てきました
外壁面は当時 弱溶剤2液型シリコン樹脂塗料 で塗装しました 年数相応色褪せが否めませんね
中間の化粧胴差(幕板)も色褪めしやすいグリーン系の色だったので だいぶ白化してます

【▼マウス 指を乗せると塗替え直後~15年後の写真に変化します】

肝心の木部の状態はというと 剥がれやすいシーリング周囲も無事

経年後の鼻隠し板と、継ぎ目のシーリング部分を矢印で示した写真

色褪せは否めませんが 剥がれる気配は全くありませんでした。

色褪せた鼻隠し板と、水拭きした箇所を矢印で示した写真

いし様宅は新築~5年も経過しないうちに木部塗膜がペラペラ剥がれてきて 建築会社に保証で塗り直しを
してもらったそうですが それも5年も経過しないうちにメチャメチャな状態になったそうなので
今回15年経過しても なんともないのは大変優秀な結果で この塗装方法を伝授して頂いた
曽根塗装店さんには感謝しかありません。m(_ _)m

【B】の施工実例です  

ここの たま様宅 は当初見積り段階では【A】の予定だったのですが このように前回の旧塗膜を研磨した事で 木の素地が出ました 作業動画です▼ *音が出ます

せっかく素地が出たなら塗り潰し仕上げは もったいないよな~ という事で
【B】の染み込ませて木目を出す仕様 に急遽変更になりました。

破風板のWPステイン上塗り1回目。上塗り前の木肌との色の違い
破風板のWPステイン上塗り1回目と2回目の比較

作業中の動画です

油性のWPステインを3回塗りして仕上げました。和の趣を重視すると こちらの方が似合います
こちらのお宅は ほぼ毎日通勤で通り 観察しております

WPステイン3回塗りで木目を生かして仕上げた破風板
木目を生かして破風板を仕上げた住宅の外観

2012年に↑全剥がしして油性WPステイン3回塗りした破風板が2026年どうなっているか??? 写真を撮影してきました。 方角は西面です。(塗装14年経過後)

WPステイン塗装から14年後の住宅西面の外観
XTU S6

やや風化しているものの 油性WPステイン仕上げにしては 思いの他 頑張っているな~という印象でした。
素地を出して表面が 少し荒い状態で 何度も塗料を吸い込ませたのが良かったのだと思います

WPステイン塗装から14年後の破風板の近景
XTU S6

あと どの位で完全にダメになるのか? 経過を観察したいと思います。

木部用塗料の屋外暴露試験

ちなみに 私が加入させて頂いた 日本塗装技術研究会では 木部用塗料の比較試験もやっております。
こちらは会員の岐阜県中津川市の塗装店 「椿」さん 他メンバー数人にて75枚の板を設置

木部用塗料の屋外暴露試験に使う75枚の木板を架台に並べた状態

国内及び海外メーカーの木部用塗料(WPステイン系 エナメル系) 
それ以外のものも含めて52種類(75通り)を先程の板に平等な条件で塗り
屋根の上にクレーンで上げて 経過を観察

木部用塗料の比較試験に使用する塗料や試料を並べた写真
屋根上に設置した屋外暴露試験板。黄色の丸が木部塗料の試験板

屋根と同じ斜め上向きで設置しているので 垂直な壁面計算よりも約3倍以上の劣化スピードです
なので 設置約1年で それぞれ結果が出ました
【▼マウスか指を乗せると設置~1年後の写真に変化します】

どれがどの材料なのかは会の機密情報なので言えませんが ↑これには正直僕も驚きました(TT)
【A】だけど ほぼ全く剥がれない塗料 施工法  【B】だけど耐候性の高い塗料
高い割にダメな塗料etc  かなり勉強になり今後の施工で活かしていきたいと思いますm(_ _)m

WPステイン塗装時の下地処理は どれくらい意味があるか?

木部塗装というものは大変奥が深く 木材に染み込ませるWPステインの塗装においても
下地処理の有り無し で その後の耐用年数に差が出ます。

WPステインの下地処理の比較図。滑らかな木肌と研磨した木肌で、塗料の吸い込みや風化に差が出るイメージ

▼は技研メンバーの 岐阜県 株式会社 むらせ塗巧舎 さんが試験 検証した資料で
新品(ツルツル)の木材に対して①未処置 ②電動工具(サンダー)③木質チップを吹き付け処理する(ブラスト)
それぞれの板に同一条件でWPステインを塗布  そして1年半屋外暴露した結果です

WPステイン塗装後1年半の試験板。左からブラスト、サンダー、未処理で、未処理板は色落ちが目立つ
試験板のテープ剥離試験。ブラスト・サンダー処理板に比べ、未処理板で塗膜の剥がれが目立つ

明らかに未処理の板は風化が激しいのがわかりますし テープを貼って剥がした時に塗膜が剥がれてしまうので
染み込まずに表面に乗ってるだけ というのが よくわかります。
詳しくは技研HP 木材塗装における塗料の含浸率の違い の村瀬さんの記事をご覧ください。

、、、、、、、、、と、いった事をあまり真摯に捉えずに10年以上前に私が施工したお宅が こちらです
板壁を塗り直す際に 数枚だけ腐っている板があったので この分は大工さんが新品の板に張替え
で 全体を塗る時に当然 同様に新品板も塗布して 出来上がりは綺麗でしたが
約10年経過後 再度塗替えの依頼があった為 見にいくと 張り替えた板だけは
塗膜が完全に消滅して 風化して 見るも無残な姿に、、、(TT)
【▼マウス 指を乗せるとUP写真に変化します】

もうひとつ実例 ここは当店施工記録の 大分市京ヶ丘E様宅 で施工当時 「築3年!」でした
意匠性 趣を重視した建物でした 新設時の板には透明のWPステインを塗布してましたが
築後まもなく風化が始まり 黒っぽく焼けてきてましたので全面漂白処理してWPステインを塗布しました
【▼マウス 指を乗せると築3年~塗替え後写真に変化します】

漂白処理して ペーパー研磨も行い 規定通り2回塗りしたのですが、、、、、

10年経過すると うわぁぁぁ(TT) という酷い状態でした。 そしてE様からは2回目の塗替えのご用命を頂き
2022年に リピート工事が完了致しました。

【▼マウス 指を乗せると1回目塗替え10年後~2回目完了後写真に変化します】

2回目工事の際は漂白処理などは行わず 高圧洗浄だけにしました。 1回目のWPステインは ほとんど風化していた状態でしたので 水圧で ほとんど除去しました。

杉板外壁の高圧洗浄前後。右は黒ずんだ状態、左は洗浄して木肌が現れた状態

↑を見るとわかる通り1回目の時と比べ 年月が経過して ザラザラした感じの板表面なので
2回目の時は1回目に比べて木への「吸い込み」が断然多く 使用したWPステインの量も倍近く消費しました なので今回は 長持ちするはずです。   こうやって考えると 早め早めのお手入れを とは言ったものの
あんまり早い時期(木がスベスベ状態)は まだ塗らないほうがよく 
少々数年は放置して ややザラザラになった状態の方が 良好な結果が得られるのでは?
と 思いました。 

城下町 臼杵市では家の入口に 大工さんが造作で作成した木製の「くぐり門」のあるお宅が珍しくありません。   数百万する代物で、家の顔となる くぐり門が痛まないように定期的にメンテナンスを行う文化があります 下記動画は 親戚の大工さんからの依頼で 木製くぐり門の研磨&塗装を行った時の様子です        

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当店HPのデータを元に疑問にお答えします。

回答するのは「北条塗装店AI」です。店主本人へのお問い合わせや、工事・訪問の予約受付ではありません。
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